今回は、正方行列と正則行列、単位行列の違いについて具体例と共に簡単に説明していこうと思います。
正方行列の定義
m × n 行列が正方行列であるとは、m = n が成り立つことです。この行列を次数 n の正方行列といいます。
正則行列の定義
行列 A = (aij) が正方行列であるとする。
連立方程式
が、ただひとつの解x1 =x2 =···=xn =0しかもたないとき、A を正則行列という。
これだけみてもあまりしっくりきませんね。
具体的に見てみよう
は、なので、正則行列ではありません。
しかし、
は、なので、正則行列といえます。
x1 = x2 = x3 = 0 は対応する連立方程 式の唯一の解だからです。
次に単位行列について見てみましょう。
単位行列の定義
m × m の単位行列Im はIm = (eij) とおいたとき、
で定義される行列です。 恒等行列などともいいます。
これだとわかりにくいので具体例を見てみましょう。
これらは全て単位行列です。
このように、決まった斜め一列のみが1で他は全て0で構成されています。
なお、既約行階段行列の定義から、
単位行列はすでに既約行階段行列となっていることに注意しましょう。
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