大学数学の中で、行列とベクトルの一次結合でつまづく人のために、
今回は一次結合について具体例とともに説明していきます。
定義
与えられた n 個のベクトルu1, u2, …, un とn 個のスカラー α1, α2, . . . , αn に対して、
それらの 1 次結合というのはベクトル
α1u1 +α2u2 +···+αnun
のことである。
ちなみに、スカラー量とベクトル量の説明は以下の通りです。
スカラー量:一つの量だけで示すことができる量
ベクトル量:複数の量を一度に示さなければ表現できず,必ず「向き」を 伴う量
例題
では例題を見てみましょう。
α1 =1,α2 =−1,α3 =2,α4 =3 かつ
とします。
これらの一次結合はどうなるでしょうか。
解けましたか?答えは
α1u1 + α2u2 + α3u3 + α4u4
ですね。
連立方程式とベクトルの 1 次結合
次に、連立方程式をベクトルの 1 次結合を利用して書き表してみましょう。
説明
連立方程式
を考えてみましょう。
これをベクトルの方程式風に書くと
となります。
これを、変数ごとにわけて書くと
さらに、変数をスカラーのように扱うと
となります。
最初の連立方程式は、解いてみると
x1 = −2, x2 = 1, x3 = 3
という解を持ちます。
これを、最後の式に代入すると
となりますね。
つまり、右辺のベクトルは左辺の 3 つのベクトル の 1 次結合の形に書けるということです。
ここではx1 , x2, x3 の解がひとつづつだったのでうまくいきましたが、
二つ以上解がある場合、一次結合が成り立ちません。
よって次の定理がわかります。
定理
m×n 行列 A の列を列ベクトルa1,a2,…,an, として書き表すことにする。
すると x ∈ が連立方程式
の解になる必要十分な条件は、
b が A の列ベクトルと x の成分の 1 次結合
x1a1 +x2a2 +x3a3 +···+xnan = b
として書けることである。
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